こんにちは、あろっちです。
2024年に入り、マイコン市場はハードウェアの進化からソフトウェアの活用にシフトしています。特にRP2040は、引き続き人気ですが、Raspberry Pi Pico 2に搭載された新しいマイクロコントローラ、RP2350も注目を集めています。この記事では、RP2040とRP2350の違いを明確にし、それぞれの強みを中立的な視点で解説します。
RP2040とRP2350の比較
RP2040の特徴
- デュアルコアARM Cortex-M0+プロセッサを搭載。
- 最大264KBのRAMを持ち、様々なプロジェクトに対応。
- 低コストで、教育用途やDIYプロジェクトに最適。
- MicroPythonやCircuitPythonのサポートで初心者にも使いやすい。
RP2350の特徴
- デュアルコアARM Cortex-M33とRISC-Vコア(Hazard3)を搭載し、より高度な処理が可能。
- 512KBのSRAMと最大4MBのフラッシュメモリを備え、メモリ容量が大幅に向上。
- 消費電力が改善され、特にアイドル時の省電力性能が優れており、RP2040よりも約20%低い消費電力。
- IoTやエッジコンピューティング向けプロジェクトに特に適している。
開発環境
RP2040およびRP2350の開発では、以下のツールが利用可能です。
- C/C++ SDK: 高度なパフォーマンスチューニングや低レベル開発が可能。
- MicroPythonやCircuitPython: 初心者向けで使いやすく、簡単なプロジェクトに最適。
- Arduino IDE: Arduino-Picoライブラリを使ってRP2040やRP2350をプログラム可能。
また、Arduino IDEの代わりにVSCode(PlatformIO IDEプラグイン)を使用可能。
これにより、開発者のスキルに応じた柔軟な選択肢が広がります。
エッジAIとTinyML
RP2040およびRP2350でのTinyML(マイクロAI)は、特にエッジデバイスでのAIアプリケーションに注目されています。具体的には、以下のようなプロジェクトが可能です。
- 音声認識やジェスチャー認識: TinyMLを用いて、RP2040やRP2350上でリアルタイム処理を実行可能。
- TensorFlow Liteなどのライブラリを利用し、クラウド依存しないエッジAIを実現。
RP2040で十分なケース
多くのプロジェクトでは、RP2040のコストパフォーマンスが強みになります。次のようなケースでは、RP2040が十分な性能を発揮します。
- 教育や初心者向けプロジェクト: 低コストであり、Pythonベースの開発環境が充実しているため、学習プロジェクトに最適です。
- DIYプロジェクトやプロトタイピング: シンプルなセンサーやモジュールの活用において、RP2040のパフォーマンスで十分です。
RP2350が最適なケース
RP2350は、Cortex-M33コアを搭載しており、特に次のようなケースで有利です。
- バッテリー駆動のIoTデバイス: 低消費電力のため、長時間の運用が可能。省電力設計に優れており、特にバッテリー駆動のエッジデバイスでのアイドル時消費電力が削減されています。
- エッジコンピューティング: Cortex-M33は、DSP命令セットを搭載しており、リアルタイムでのデータ処理に強みがあります。また、Arm TrustZoneセキュリティ機能により、安全なデータ処理や通信が求められる環境でも効果的です。これにより、エッジでのデータ処理やセキュリティ強化が必要なプロジェクトに最適です。
結論
RP2040は、コストパフォーマンスを重視する教育用途や小規模なDIYプロジェクトに最適な選択です。一方で、RP2350は、消費電力が重要なバッテリー駆動のIoTデバイスや、より複雑なプロジェクトに対応できる高性能マイコンです。それぞれのプロジェクトに応じて、最適なマイコンを選ぶことで、開発をより効率的に進められます。
注記: 市場動向と技術の進歩に関するリスク
市場動向や技術の進化は日々変化しています。特に、マイコン市場のソフトウェア活用やエッジAIの重要性が増しているトレンドは確認されています。最新の市場データや業界動向を定期的に確認することをお勧めします。
また、技術的な進歩も急速に進んでいるため、新しいハードウェアやソフトウェアのリリースに応じて、この記事の内容もアップデートが必要になる可能性があります。
その点はご留意ください。
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