RP2040ボード(例:Raspberry Pi Pico)をRaspberry Pi Debug Probe(デバッグプローブ)を使って、VSCodeのArduino拡張機能でデバッグを行う方法をご紹介します。
本記事はMacのArduino for Visual Studio Codeを対象にしたデバッグ方法を記載しています。

Arduino IDEでのデバッグ方法は以下の記事を参考にしてください
参考URL:

Raspberry Pi Debug Probe(以降、デバッガー)とRaspberry Pi Pico(RP2040ボード)

デバッグ環境の準備
openocdのインストール Mac編
本記事ではMacのRP2040用openocdはソースからビルドしてインストールすることとします。
openocdのビルド&インストールはターミナルから実行します。
XcodeとHomebrewがインストール済みである前提とします。
Xcodeが未インストールの場合はAppStoreからインストールしてください。
Homebrewのインストールは以下の記事をご参照ください。
ユーザディレクトリ配下にpico
ディレクトリがある前提ですすめます。
存在しない場合は以下のコマンドで作成してください。
cd ~/
mkdir pico && cd pico
依存関係のインストール
brew install libtool automake libusb wget pkg-config gcc texinfo
ビルドコマンド
git clone https://github.com/raspberrypi/openocd.git
cd openocd
./bootstrap
./configure --disable-werror
make -j4
openocdのインストール
sudo make install
openocd
は/usr/local/bin
配下にインストールされます。
参考URL:
https://datasheets.raspberrypi.com/pico/getting-started-with-pico.pdf
VSCode拡張機能インストール
VSCodeに拡張機能Arduino for Visual Studio CodeとCortex-Debugをインストールします。
Arduino for Visual Studio Codeのインストールについては次の記事を参照してください。
Cortex-Debug拡張機能をインストールします。

配線について
以下の記事に配線例を掲載していますので参照してください。
デバッグの設定について
Arduinoファイル出力先の設定
スケッチフォルダ配下/.vscode/arduino.jsonに次の設定を追加してください。
"output": "./build"
launch.json (デバッグ用設定ファイル)
launch.jsonはデバッグ用の設定ファイルです。
スケッチフォルダ配下/.vscodeに「launch.json」というファイルを作成します。
以下はlanch.jsonのテンプレートになります。
{
// IntelliSense を使用して利用可能な属性を学べます。
// 既存の属性の説明をホバーして表示します。
// 詳細情報は次を確認してください: https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=830387
"version": "0.2.0",
"configurations": [
{
"name": "Arduino CMSIS-DAP",
"cwd": "${workspaceRoot}",
"executable": "./build/スケッチ名.elf",
"request": "launch",
"type": "cortex-debug",
"serverpath": "/usr/local/bin/openocd",
"servertype": "openocd",
"showDevDebugOutput": "none",
"configFiles": [
"interface/cmsis-dap.cfg",
"target/rp2040.cfg"
],
"openOCDLaunchCommands": [
"transport select swd",
"adapter speed 5000"
],
}
]
}
executable(10行目)のスケッチ名は実際のスケッチ名(例: Blink.ino)に置き換えてください。
RP2350(例: Raspberry Pi Pico 2)の場合、18行目を以下に置き換えてください。
"target/rp2350.cfg"
スケッチ書き込みについて
デバッグ対象のRP2040/RP2350ボード(例: Raspberry Pi Pico)にはデバッガーを通じてスケッチを書き込みます。
ボードはデバッグ対象のボードを選択します。例えばRaspberry Pi Pico 2がデバッグ対象のボードならRaspberry Pi Pico 2を選択します。
Upload Methodは「Picoprobe/Debugprobe (CMSIS-DAP)」を選択します。
ポートはデバッガーの接続ポート(/dev/tty.*)を選択します。
書き込み先のRP2040ボードも給電のためUSBに接続しておきます。
※USBでの通信はしません。

書き込みに成功すると「出力」タブに画像のような内容が表示されます。
デバッグについて
デバッグ用コードの埋め込み (オプション)
デバッグが正常に開始しない場合はsetup関数の直後にdelayを挟むよう次のようなデバッグコードを入れるとよいかと思います。
#define __DEBUG__
void setup() {
#ifdef __DEBUG__
delay(1000);
#endif
この例ではdelayの時間(setup開始までのインターバル)を1000msとしています。
デバッグが正常に開始しない場合は長めに設定してみてください。
デバッグコードを無効にするには#define __DEBUG__
をコメントアウトします。
// #define __DEBUG__
void setup() {
#ifdef __DEBUG__
delay(1000);
#endif
デバッグの開始

ウインドウ左端の「デバッグ」アイコンをクリックし「デバッグの開始」アイコンをクリックします。(画像参照)
デバッガーの操作

行番号の左をクリックするとブレークポイントを設定できます。
デバッガーは画像赤枠のツールバーで操作できます。
アイコンは左から次のような機能があります。
デバイスリセット | デバイスをリセットする |
継続 | 次のブレークポイントまでスケッチを実行する ブレークポイントが設定されていない場合は停止/再開 |
ステップオーバー | 選択された命令だけ実行しプログラムを停止する |
ステップイン | 命令が関数を呼び出している場合、関数内部の命令をワンステップごとに実行する |
ステップアウト | 呼び出し元の命令まで実行する |
再起動 | リセットしてスケッチの最初から実行する |
停止 | デバッグを停止する |
デバッグの動きが悪い場合
エラーが発生してデバッグが開始されないなどデバッグがうまく動かない場合、デバッグプローブとデバッグ対象のボードの電源を再投入してデバッグを開始してみてください。
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